変革実行でミドルマネジメントの疲弊が招く、社内対話の減速
板挟みの限界を超えたとき、ミドルは「自分の言葉」で語ることをやめる
PMI初期の方向性アライメントの議論をしている中で、ミドルマネジメントが最も苦しい表情を見せる場面があります。
経営の方針にも一理ある、現場の言い分にも、もっともな点がある――。
その両方の正しさを理解できてしまう人ほど、どちらの側にも立ちきれず、深い葛藤に陥っていくのです。
始まりは「腹落ちしない方針」が降りてきた瞬間
葛藤の入り口は、現場の実態を無視したような方針が提示された瞬間にあります。
現場の最前線を知っている自分の感覚では、どうしても飲み込めない――。
しかし、それが単なる変化への慎重さなのか、それとも本当に実行不可能なのかは、状況によって違います。
さらに困難なのは、たとえ無理があっても「やらなければ次へ進めない」という残酷な判断が必要な局面があることです。
日々の事業を回しながら、未知の変革まで引き受ける。
その余裕は、ミドルにはほとんど残されていないのが現実です。
上下から集まる「期待」という名の重圧
疲弊に拍車をかけるのは、上下から寄せられる切実な期待です。
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経営層からの「現場を熟知している君が、何とかうまくやってくれ」
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現場からの「守るべきものは守ってほしい。おかしいことは経営に言ってほしい」
どちらの主張も間違っていません。
しかし、両立が困難な課題を「現場力で解決できる」という前提で押し付けられたとき、すべての矛盾がミドルの元に集約されます。
抵抗ではなく「当事者意識の返上」
多くのミドルが、最初から黙っているわけではありません。
勇気を持って問題提起をします。しかし、話は聞かれても方針に反映されず、「もう決まったことだから」という空気が流れ、参画できていない感覚だけが残る。
この積み重ねの先に起きるのは、露骨な反発ではありません。
「自分の判断として語ることをやめ、役割を一段下げる」という選択です。
「上が決めたことだから」と、言葉の責任を外部に置く。
この瞬間、組織から血の通った対話が失われます。
PMIが減速する真の理由
組織の対話量が落ちていくのは、ミドルの覚悟や能力が足りないからではありません。
一箇所に無理が集中し、経営と現場の意味を繋ぐ「翻訳者」がいなくなった結果にすぎないのです。
ミドルが「自分の言葉」で語らなくなったとき、PMIは静かに、しかし決定的に減速していきます。

